DRAGON QUEST6外伝 モンストル英雄伝説5

 

『わたしは…どうなってしまっているんだ…な…なんだこの醜い姿はっ!!!どうなっているんだ!!??どうなっているんだ!!??

…ダメだ!!こんなことをしては!!ま…町が…わたしのせいで町が…また壊れてゆく…なぜだ!!??

体が…言うことを利かない…あっ…!!スコット!!し…神父さん!!は…早く逃げ…!!!』


 アモスは毎晩この悪夢にうなされ続けていた。そう、あの日の死闘以来。

本人はまさか自分が、夜になるとモンストラーになっていることは知らされていない。
『あなたはモンストラーになっている』なんてことは口が裂けても言えなかったのだ。

いや、いえるはずが無かった。それはこの町を命がけで救った英雄に対して恩を仇で返す形になるからだ。
そんなことをアモスに言ってしまえば、アモスはきっとこの町から姿を消してしまうだろう。

 あの戦いから一月が過ぎ行くころだった。アモスの腰部分の傷は今だ治っていない。

それどころか日に日に体力が失われており、床から出ることも儘ならないほどになっていた。
毎晩モンストラーに変身して、町を小規模ながら破壊してはいるが、最近姿を見なくなったこの町の恩人を心配してか、

毎日見舞いの人たちが絶えなかった。
笑顔で話をしながら、アモスはあの戦いのとき、モンストラーに噛まれ、意識を失っている間のあの夢が気になっていたのだ。

呪いをかけたというのはこの事なのだろうか。毎晩見ている夢…と言うよりあの実際に体験しているような幻覚…もう、わたしはきっと…もうこのまま…




『ようこそ。深き緑に囲まれたモンストルの町へ』

「おお!!ここがあの看板に書いていたモンストルの町か〜俺の住んでたサンマリーノとは違う、こうなんか森の匂いがして良い感じだな!!…

でもなんかこの町地面にひび割れが多いって言うか…」
「そうですね…半分壊れた家も見受けられますし…これは是非とも調べる必要がありそうですね」
そう、この町にムドーを倒し、旅を続けている勇者一行、ロエル、ハッサン、チャモロ、ミレーユがやってきたのだ。

海沿いにモンストルを案内する看板が立られており、それを見て立ち寄ることに決めたのだ。
「みんなどうする?宿屋に行く?」
「俺はまだいいぜ」
「ぼくもまだ大丈夫です」
「わたしも、あまり体力も減ってないからまだいいわよ。夜になったら行きましょう」
「じゃあ、しばらく町の散策でもしようか。この町の地面のひび割れ具合も気になるし…」
彼らはムドーを倒すまで、ほとんど休み無く旅を続けていたので久しぶりの休みを取るために、この町に滞在するようだ。
彼らは今だ減らない魔物の謎を解くこと、そして自分を探す為の旅を続けていた。この町にもその手がかりを探すために立ち寄ったのだ。

ムドーを倒した勇者たちがやってきたことはこの町に一瞬で広まった。
彼らはまず、町の中心へ向かうことにした。町の中心、ちょうど教会がある辺りに、ブロンズ作りの真新しい記念碑が建っていたのだ。

記念碑の下部分には、勇敢な戦士が、巨大な魔物と戦っているレリーフが彫られていた。

あの戦いの日から少し経ってから、アモスの記念碑を建てることは町の議会で全会一致で可決され、

即建設され昨日これがお披露目されたばかりだった。
「お〜い、ロエル!これ見てみろよ!」
「どうしたの!?ハッサン…?モンストラー倒伐する英雄の記念碑。この町にこんな人がいてたのか…この人はまだこの町に居るのかな?

…あっ、そういえば、ミレーユとチャモロが見当たらないけど…あの二人はどこに行ったんだろう?」
「ロエルさん、ハッサンさん!やっぱりこの町は怪しいですよ!」
そこの姿を消していたチャモロとミレーユが帰ってきた。
「チャモロ、ミレーユどこ行ってたの?」
「あなたたちが、それに見惚れてる間に教会以外の色んなところを回ってきたんだけど、わたしたちが旅人だってわかったとたん、

夜になる前にこの町から出て行ったほうが良いとか、次の町に行ったほうが良いとか、みんな冷たいのよね」
「そんなこと気にするなって!!宿屋ならきっと泊めてくれるさ!次の町に行ってもきっとここより強い魔物が居るだろうし。

なぁロエル、俺たち全員で教会に行ってみようぜ」
「うん」
この記念碑の北側に教会が立っている。
そしてその前にこの教会の神父だと思われる人物が立っていた。
「こんにちは…あの、この町についていろいろ聞きたいことが…なぜこの町にはひび割れた地面や、壊れかけた家があるんで…」
といったとたん神父はこの後の言葉をさえぎるかのように言葉を発した。
「あ…あなた方は旅の方ですね。あまりこの町について色々聞き回るのことはお勧めしません。

それに悪いことは言いません。夜になる前にこの町から立ち去るのです」
「何でなんですか?」
「…」
神父は返す言葉が無かった。アモスのことについては町の人以外には漏らさないと決めているからだ。

困り果てた神父がかわいそうに思えてきて、ロエルはこれ以上聞かないことにした。
後ろでは、ツッコミを入れたそうなハッサンをミレーユとチャモロが必死になって抑えている。
「わかりました…あの、一つだけ聞いても良いですか?」
「何でしょうか?」
「あの記念碑のレリーフに彫られている"勇敢な戦士"はまだこの町に住んでるんですか?」
少し驚いた様子の神父。ムドーを倒したのが彼らだと言うことは会ったときからわかっていたようだ。
しかし、アモスのことを話すくらいならかまわないと彼も判断したようだ。
「アモスさんのことですね。彼ならまだこの町に住んでいますよ。この町英雄ですから。彼が居なかったらこの町は…」
「そしてアモスさんはどこに住んでるんですか?」
「ここから少し西に進んだところに。でも彼はいま魔物との戦いで負った傷を治すために家で療養中です…

お見舞いに行かれても構いませんが、あまり長居なさらない様に…」

即アモスの家に向かうロエルたち。さっき必死に口を押さえられていたハッサンはどうもアモスに何かあるのではないかと考え始めていたようだ。
「どうも怪しいよな〜アモスってヤツが夜になんかやらかしてるとかそういうのじゃねぇのか〜?」
「でもアモスさんって言う人は傷を治すために療養中なんでしょ?うろうろ動き回れるのかな?」
「魔物に変身とか…そんな訳無いわよね」
「…魔物に変身…か…昔、祖父から聞いたことがあるような気が」

家に向かう途中、遊んでいた子どもたちにアモスについて聞いてみたが誰もが
「アモスのおじちゃんはいいおじちゃんだよ!ランドルくんなんて、モンストラーがきたときにおじちゃんに助けてもらったんだよ!

今はおじちゃん病気でずっと寝てるけど、少し前までぼくたちおじちゃんによく遊んでもらってたもん!」
と言う風にとても評判が良く、ハッサンが言うように何かをやらかしそうな人物ではないようだ。

そのうち一軒の家が見えてきた。ここがアモスの家のようだ。その隣の家の前に一人の体格の良い男が犬と遊んでいた。
「こんにちは。あの、アモスさんの家はこちらでしょうか?」
「そうだよ。あ、君ら旅の人?アモスになんか用なのかい?」
「はい。あのブロンズの記念碑とレリーフを見て、アモスさんに会いたいなと思って。ぼく達も魔物と戦いつつ旅をしているんで」
「なら、きみらみたいな子を見たらアモスも喜ぶだろうよ。あいつあの日以来外に出てねぇからさ…まぁ行ってやってくれよ」
男は笑顔でそういうと犬とともに街角へと消えていった。


ハッサン、チャモロはアモスの寝室があると思われる窓からそっと内部を覗き込んだ。そこにはベッドの上に横たわる三十半ばの男が伺えた。
「どうだった?」
「う〜んどう見ても普通のおっさんだぜ…」
「小さい子たちのいうとおり普通の心優しい戦士って感じですが…ぼくには何らかの精神の衰弱が感じられますね…」
少し経ってアモスの家のドアをノックする。すると中から「どうぞ」という声が聞こえてきた。

 

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