DRAGON QUEST6外伝 モンストル英雄伝説6
ドアを開け、アモス宅に入るロエルたち。結構広い空間が広がり暖炉の火が燃えている。
彼は色々な書物をかなり読むのだろうか、本棚にはぎっしりと難しそうな本が並んでいた。
その横にまた広い部屋があった。整頓された部屋の奥、先ほど外から見たあの男がベッドの上で横になっている。
その脇には、これでモンストラーを倒したのだろうか、かなり使い込まれた剣が立てかけられていた。
近づいてくるロエルたちに気づいたのか、そっと体を起こすアモス。ロエルは少し緊張気味だ。
「ア…アモスさん、こんにちは。いきなりやってきてすみませんが…」
「やぁ、いらっしゃい。旅の人たちがわたしに用なんて、珍しいですね。あっ、こんな格好で悪いですね…最近は部屋から出るのもやっとで…」
アモスの、自分たちへの対応が、結構友好的だったので、少しほっとする。やはり少し動くだけでも傷が痛んでくるようだ。
「ぼくたち、教会前の記念碑を見て、アモスさんに会いたいなと思ってやってきました。ぼくたちは魔物と戦いつつ世界を旅してます」
「魔物が…そうなんだ…わたしはあの日以来外には出てないから、外の様子は全く持ってわからないんですが。魔物はまだたくさん出るみたいだね…」
そういうとそっと視線を下に下げるアモス。その後、落ち着いた話し声で話を続けた。
「それと町長さんが言っていたあの話、本当の話だったようですね…まさかわたしの記念碑がこの町に建つなんて。
あれを見たってことはあなたたち、わたしの"あの"ことは知っているみたいですね。
あはははっ、こんなわたしでも町の人たちは"英雄"だなんて称えてくれる…でもこれで、うっ…あいたたたた!…ああっ…また傷が痛んできた」
とっさにミレーユが駆け寄り、横になるようアモスを促した。
「あっ、アモスさんあまり無理をなさらないで。横になってくださっても構いませんよ。わたしたち、もう少ししたら失礼しますので」
アモスは顔を歪めて腰あたりを手で抑えていた。そこに痛み止めの薬草の代えを貼り始めた。
その様子を見ていたチャモロは少し驚いたような顔をしていた。
彼は、アモスの腰の傷部分を見てしまったのだ。彼は癒しの力を持つものが多く住むゲントの村からやってきており、
そこには毎日病気の治療等でたくさんの人たちがやってくる。
彼も診療所を営む、長老の孫であって普段からその手伝いをしており、さまざまな病状、傷を見てきたつもりだった。
しかしアモスのそれは今まで見たことの無い、異常な傷跡だったのだ。
「おいチャモロ〜なんだ?強力な魔物が出てきたときみたいな顔して?」
「い…いや!なんでもないです!」
その驚いた顔を見たハッサンがとっさにチャモロに聞いたがチャモロはうまくごまかした。
「大丈夫です…初めて会う旅の人たちに、変に気を使わせちゃうなんて…本当にすまないですね…
あの魔物を倒してからというものこんな状態が続いてて…情けないですよ。こんな体になっちゃうなんて。
でも魔物の被害がわたしだけで本当によかったと思ってるんですよ」
ロエルはふと考えたてみた。ぼくには…ぼくには果たして、アモスみたいなことができるのだろうか?
「アモスさんは本当にやさしい人なんですね」
「いや〜照れちゃうな…あははっ。ところであなたたち、これからどうするんですか?」
「この町にしばらく泊まろうかと。森に囲まれたいいところなんで」
「そうなんですか。この町の周りには森しかなくて、夜は真っ暗になるから、月の光はとてもきれいに見えますよ。
これはわたしのおすすめですよ!」
アモスはそう言うとロエルたちにグーサインをした。
その後少しだけムドーとの戦いや、旅の話などをして
彼らはアモスの家を後にしたのだ。
アモスを疑っていたハッサンも今はそんなこと微塵も感じていなかった。しかしチャモロだけはアモスの傷が気になっていたみたいだった。
町入り口の宿屋に向かう四人。まさか、その後魔物に変化したアモスに遭遇するなんて思いもせずに。
「って!!!おっさんよぉ!!何でなんだよ!!??何で俺たちをここに泊めてくんないの?俺たちに何かかあんのかよ!!」
宿屋のフロントで怒鳴り声を上げるハッサン。
「…とにかく今のうちに、次の町にでも行ってゆっくりしたらどうだい?ここじゃきっと、ゆっくりできないよ…」
彼らをどうしてもここに泊まらせるわけには行かない宿屋の主人は、必死になって次の町に行くように進めているが、
彼らがそう簡単に引き下がるわけが無い。
「まぁまぁ、ハッサン落ち着いて…ぼくら、本当に体を休めればそれで良いんですよ、だからお願いします」
ハッサンは、ロエルにそう言われると少し落ち着いたのか、静かになった。
この宿にやってきて、すでに数時間が経過していた。
「俺からも…お願いします…」
「わたしからもお願いします」
「ぼくからもお願いします…」
「そうかい…もう、きみたちには負けた!!じゃあ仕方ないな…じゃあ、ゆっくりしてってくださいな」
さすがの主人も彼らに根負けしたのか仕方なくここに泊めることを許した。
その後部屋に向かい荷物を降ろそうと歩いていると、チャモロは廊下の突き当たりに長い階段を見つけ、
それが気になって上ってゆくと、屋上に辿り着いた。この高さだと三階くらいの高さになるのだろうか、
漆黒の森の彼方、薄暗い空に大きな満月が照り始めていた。
部屋に戻るとロエル、ハッサンはすでに夢の中に旅立っていた。ミレーユは風呂にでも行ったのだろうか。
チャモロも彼らとともに眠ることにした。とてつもない睡魔が襲ってくる。